防蟻薬剤の種類と施工個所

防蟻処理については、複雑な時代背景があります。
一般に土壌処理と木部処理の2回の防蟻施工が必要です。
私が住宅業界に入った1970年代は、防腐処理は標準仕様でしたが、防蟻処理は、追加の費用がかかるオプション仕様でした。防腐処理だけ施工し、防蟻処理をしない現場は珍しくありませんでした。

程なく住宅金融公庫融資でも防蟻処理が標準化されるようになりました。

①有機塩素系の薬剤を使用し、強力でした。
10年経過してもアブラムシが寄り付きませんでした。
少々ズボラな奥様でも、アブラムシがこないということで感激して下さいました。
私もアブラムシがこないということで建築主に随分とお勧めしました。
アブラムシがくるようになると、防蟻薬剤の効果がきれてきた証拠ですから、再施工して下さいということも言いました。永らく使用しましたが、世の中の環境面への配慮が強まり、禁止されました。
白蟻に悪いものは人間にも害を及ぼす可能性があるということです。

②その後、有機リン系の薬剤が使用されるようになりました。しばらくして、例のサリン事件が起りました。
サリンとは当時あまり知られていませんでしたが、新聞の記事によると、有機リン系ということで、防蟻薬剤と同じということで、イメージが急激に悪くなりました。
そして、環境面への更なる要求が厳しくなり、まもなく禁止されるようになりました。
これも薬剤としては環境面への配慮からすると強力過ぎるという判断でした。
薬剤の値段も比較的安く、重宝しておりましたが、禁止ということで、困りました。
このころには泡工法という、土壌処理を上棟後に床下から薬剤を発泡して施工する工法が開発されました。
2回の施工が1回で済むようになりました。

③合成ピレスロイド系という除虫菊の成分がその後、採用されるようになりました。
環境に優しい防蟻薬剤です。
環境に優しいということは、白蟻に対する効果も強力ではありません。
アブラムシも、防蟻処理したすぐ後でも平気で走り回ります。環境に優しい使用可能な薬剤から選択するとこのようになります。

白蟻に強力でかつ、環境に優しいという薬剤はありません。

最近では薬剤そのものが嫌われる場合もあります。
天然の抽出液などを用い、いわゆる薬剤を使用しない場合もありますが、白蟻に対する効果が疑問で、余程のこだわりが無ければお勧めはしません。

住宅金融公庫の基準では地面から1mの高さまでの外壁木材に対して防蟻処理を行なうことになります。
昔は、1mよりも高い所まで余計に、そしてどぼどぼになるまで、充分に薬剤処理をしておくと、建築主に喜ばれました。
現在は逆です。
基準通りの薬剤量をまくだけです。
それ以上をやると叱られます。喜ばれません。

セントリコンシステムと呼ばれる、白蟻にえさを与え、そのエサを食べた白蟻が脱皮できなくなるという薬剤を使用しない優れもののやりかたもあります。
薬剤を使用しないわけですから、当然、環境には優しいシステムです。
ただし継続的な管理費用など、コスト面で問題が残ります。
どうしても薬剤を使用したくない場合には検討の対象になります。

また最近の基礎は布基礎からベタ基礎に移行しています。
つまり内部に土がなく、コンクリートで土間をつくってから立ち上がり基礎をつくります。
内部から土が見えなくなりました。これは白蟻対策としてはプラスに作用します。
厳密には土間コンクリートを施工しても、打ち継ぎ部分などからは白蟻は侵入する可能性があります。
可能ならば、土間コンの上に防蟻処理をしておくほうが無難です。

なお、白蟻の被害の保証について、確認しておきますが、雨漏り・水漏れ・結露水などの被害にまつわる、白蟻被害については補償されません。
水の供給があると、白蟻は容易に侵入します。

保証期間は5年~10年です。
その他の条件もつく場合もありますので、予め確認しておきます。

防蟻処理施工