敷地境界の位置・ポイントについて、住まいを建築する際に、最重要ともいえる、基本的なことがあります。

建築する敷地の境界ポイントの確認です。

基本的なことですから、めったに間違えることはありません。
余りにも当然のことで、間違えたら困ります。
ところが、信じられないことが起る場合があります。
図面上の境界ポイントを現実の敷地の上で確認するときに間違えることがあります。
現地で、地縄確認ということが建築主・住宅会社の立会いで行なわれます。
そのときにも、正しいと信じていることを疑うことなく、承認されてしまいます。
建築主も気付かないのです。
プロである住宅会社の工事担当者も気付かないのです。
結果として、誰も気付くことなく、着工し、上棟し、構造検査の時点で、発覚することがあります。
工事担当者としては、「真っ青」になります。
誰かが間違って張った地縄がそのまま現実になってしまう悲しい瞬間です。
住宅会社としては当然、プロとしてあってはならない大失敗です。
情けなく、悲しく、落ち込むことになります。
この場合の解決には極めて多大な出費はもとより、ストレスがたまり、建築主にも、近所に対しても、格好悪いことになり、その上解決に要する膨大な時間がかかります。

住宅会社にとって、建物の配置ミスほど、大きな失敗はないといえます。
これに比べれば、雨漏り・床鳴り・基礎のクラックなどのクレームは対処可能な、かわいい問題といえるかもしれません。

この大失敗は何年かに一度、必ず発生しています。
忘れたころに発生します。一度この大失敗の経験を積んだ担当者は二度と同じ失敗はしません。
それだけ身にしみて感じます。
しかし別の人がまた同じ失敗を繰り返します。
これは過去の歴史です。
他人の失敗を生かせていないということです。


畑村洋太郎さんという方が、失敗学という分野を提唱されています。
大失敗は20~30年周期で発生しているといいます。
失敗体験をした人がリタイヤした後、現実に体験したことがない人がまた同じ失敗を繰り返すのです。
現実に、現場で、現物を、現認する姿勢が大切です。
場合によってはその事故の現物をそのままの状態で保存し、肝に命じることも行なわれます。
それでも何十年後かに忘れ去られ、確認の手を抜き、再発生しています。
人間は自分で体験したことは覚えていますが、他人の経験を疑似体験しただけではなかなか身に付かないようです。
しかし、そうはいっても、何度も全員が失敗体験をすることはできません。
他人の失敗を疑似体験することによって、再発防止しなければなりません。
この問題はめったに起ることではありませんが、発生したら大失敗になります。


境界ポイントのミス例
①境界ポイントが近くに複数ある場合、勘違いしやすい。
②道路中心線から2m後退した架空のラインから、建物配置を追った場合、現場にないラインを勘違いしやすい。

何ごとも最初が肝心です。
押さえるべきところを確実に念をいれて押さえておかないと、とんでもないことになります。

ベテラン技術者は、こういったつらい経験をしている人が多いです。
そのつらさが現在の肥やしになっているのかもしれません。