鉄骨梁が錆びてクレームが付き、鋼材メーカーの立会いを依頼し、見解をまとめてもらいました。


1.調査状況

①亜鉛の表面が酸化してできた酸化亜鉛です。
これは正常な状態で亜鉛めっき製品に発生するものであり、不動態皮膜として亜鉛および鉄を保護するものです。
②亜鉛の白錆(水酸化亜鉛等)。
③白錆はウエスで拭いて取れる程度です。
白錆の下には灰色の不動態皮膜が生成されています。
④鉄素地の錆(赤錆)は発生していません。


2.錆の発生についての見解

2.1 一般的な亜鉛の発錆について
①亜鉛めっきが鉄の腐食を防止する機構は、下記の作用によるものです。
1)亜鉛が電気的に優先して錆びることにより、鉄素地の腐食を防止する。(犠牲防食作用)2)亜鉛の錆(不動態皮膜)が、外部の腐食環境から鉄素地を遮断する。(物理的な防食皮膜)

②亜鉛めっき鋼板表面の純亜鉛は電気的に活性な金属であるため、大気中で酸素・炭酸ガス・水分と反応して、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、塩基性炭酸亜鉛といった錆を形成します。

③また、亜鉛の錆の進行速度は水分・酸素・温度・pH等の影響を受けるため、環境により大きく異なります。

④通常の大気中で発生する酸化亜鉛は①にあるように緻密な保護皮膜(不動態皮膜)となり大気を遮断するため、下部の亜鉛の酸化を大幅に遅らせる効果があり、その結果鋼板は長期間の耐食性を有することになります。

⑤一方、白い粉状の水酸化亜鉛(白錆)は、水分が長時間付着した状態や長時間湿度が高い状態にあった場合に生じるものです。
特に水滴中に酸や塩類が存在すると電気伝導性が付与されるため急激に発錆が進みます。
また高温の方が発錆は早くなります。
白錆は粉状であるため保護皮膜としての性能は弱い錆ですが、時間の経過とともに通常の環境下では白錆発生部の下にも緻密な不動態皮膜が生成されます。


2.2 本件の発錆とその処置についての見解

①前述のとおり、金属光沢の無くなった灰色の部分は亜鉛の不動態皮膜ですので、正常な状態です。

②白錆も発生していますが、白錆の下にも不動態皮膜が生成されていますので、めっき製品として十分な耐食性を発揮できる状態にあると考えられます。

③なお、白錆は外観から受ける感じよりも腐食されている量ははるかに少なく、製品としてそのまま使用しても耐用年数に問題を生じることはないと言われています。(日本鉛亜鉛需要研究会編集「亜鉛ハンドブック」より)

④亜鉛の錆の進行速度は、多様な要因が関与するため、本件の発錆の原因を特定することは困難ですが、白錆が発生する場合は、水分が必ず関与しています。
本件の場合は白錆がほぼ全面的に発生していますので、部分的な水かぶりなどではなく、結露などこの環境下(湿度・温度)で時間経過とともに発生したものと考えられます。

⑤現在は発錆の初期段階であるため、白錆部と不動態皮膜部の差が目立つ状態ですが、腐食環境下から開放されると次第に白錆は脱落し外観上の差は目立たなくなります。

⑥初期の白錆は外観を損なうことはありますが、外観補修のために錆を機械的に除去することは不動態皮膜をも除去することになり、また同時に亜鉛そのものを磨き落すことになりますので、耐用年数という観点からはあまり望ましくありません。
基本的にはそのまま使用されることをお勧めします。


3.まとめ
錆の進行速度には複数の要因が影響するため発錆の原因特定は困難ですが、一般的に白錆の発生は亜鉛めっきの性質上ある程度は止むを得ないものであり、また耐用年数に問題を生じることはないとされていますので、基本的にそのまま使用されることをお勧めします。 (以上)