忙しいベテランの工事担当者によっては、工事全般の管理ではなく、建築主の要求する変更管理をしているようにも見えることがあります。

もし、その変更が伝わらなければ、やり直しをすることになります。

これほど、職人にとって、面白くないことはありません。
自分が一生懸命した仕事を、自分で壊して、また仕事をするわけですから不満が残ります。
これが同じ現場で重なると、あるいは同じ担当者で重なると、職人同士で不満をぶつけるようなことになります。
やり直し工事は建築主から、更にお金を貰ってする工事ではありません。
ということは、誰かが損をして、費用を負担して、やり直し工事をするわけです。
建設的な話ではなく、ぐちの言い合いになります。
本来の仕事とは違います。


本来の工事管理とは、
安全S(Safety)
品質Q(Quality)
コストC(Cost)
工期D(Delivery)
人間関係M(Motivation)
環境E(Environment)
など全般を含みます。


この中に、変更管理という言葉はありません。
変更が無いことを前提に考えられています。
そこに変更管理という仕事が加わると、本来の仕事が疎かになり、本末転倒ということです。


一つ面白い例がりますので、ご紹介しましょう。

公社・公団などのマンションがあります。
私が親しくしている冷暖房業者の社長が購入しました。
マンションは新築工事の途中でしたが、その工事途中に、社長自らが、自分は冷暖房工事の専門家であるから、自分で追加工事をしたいと要求しました。
答えは検討の余地無くあっさりと却下されました。
どうしてもやりたいならば、いったん竣工して引き渡した後で、自分で勝手に壊して、やり直すよういわれました。
途中の変更は認められないということです。
そして社長は、冷暖房工事の変更を諦めました。

多分、永い歴史の中で、変更する場合の問題を知り尽くして、そのような規則がつくられたのでしょう。
人の暖か味を感じない対応ですから、良いとは思いません。
ただ、途中の工事変更にまつわる問題点が、過去の歴史の中で、余りにも多く発生しており、このような規則がつくられたという現実を違った視点でみることも大切です。

高級ホテルで食事をするときのような、痒いところに手が届くようなサービスを目指すことも大切ですが、コストがホテル並に上昇します。

要するに、動き出した現場を一度止めて、途中の変更をして、再び現場を動かすということは大変であるということです。

住宅会社によっても、この対応はマチマチです。

一般に大手住宅メーカーは原則的に変更を受けません。
言葉は丁寧に、丁重にお断りします。
最終製本図面を作成するまでに、充分な打合せの上、納得した上、作成するべきものです。
住宅会社によっては、この段階で、変更が無い旨の承諾書に捺印します。

逆に、小さな工務店であれば、このあたりは融通がきく場合が多いようです。
施工しながら、職人と打合せしながら、適当に変更しながら納めていきます。
図面自体も決め方が甘く、現場調整を承知しています。


図面通りの家が、住宅会社のしかるべき管理の下、お任せで確実にできあがっていくのか、ある程度の多様性を尊重しながら、楽しみながら(苦労になる場合もあります)納めていくのかは、建築主の選択権にあります。

いずれにしろ、できるだけ工事途中の変更の無いように、充分な打合せ・納得した後で、最終図面を作成する方がよいことは言うまでもありません。
そして途中で変更しない方が、現場がスムーズに流れます。


現場で、未決定ということで、職人が手待ちしたり、変更後の材料が入らない、変更前の材料が余っているなどの点で、悩まなければならない場合は、何らかの問題点が内在しています。