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玉水新吾

ドクター雨仕舞い 外壁 雨漏り事例 外壁サイディングの浮き①

外壁の乾式仕上げにサイディング張りがあります。

ちなみに、左官下地に吹き付け仕上げを湿式仕上げと呼びます。

サイディング工事は、乾式であるがゆえに乾燥期間は必要としません。

従って工期(D)短縮に大いに貢献する工法であり、現在までかなり多用されてきました。最近左官工事も、味という点で見直されてきましたが、やはり主流はサイディング張りです。 工期の他に、左官仕上げによくある、塗りむら・ひび割れ(クラック)などが少なく、比較的品質(Q)も職人の腕を、左官工事ほど選ばず安定しています。金額も平均的に安く(C)なっており、選択しやすい工法です。Q・C・D全ての点で優れた工法といえます。 サイディング張り工法ですが、実は2通りの納め方があります。 ①通気層を設ける工法と、 ②通気層を設けない直張り工法の2通りです。

①通気層を設ける工法とは、壁体の木部に防水のアスファルトフェルトや透湿防水シートを張り、胴縁(18×36㎜)という木材を縦方向に打ち付け、その上からサイディングボードを張ります。


縦胴縁の厚み分だけが通気層となり、空気が通ることになります。空気を通すために胴縁は縦方向のみに打ち付けます。横方向に打ち付けますとそこで、空気が通らなくなります。サイディングの種類によっては、この胴縁の代わりに金具を打ち付け、その金具にサイディングを固定する金具留め工法もありますが、意味は同じです。

②通気層を設けない直張り工法とは、壁体の木部に防水のアスファルトフェルト(直張りの場合、釘穴シール性の点で透湿防水シートは不可)を張り、胴縁を打ち付けずに、その上から直接サイディングボードを張ります。縦胴縁の厚み分がありませんから通気層は無しです。空気が通ることはありません。

①に比較してコスト面では安い工法ですが、性能面でお薦めはしません。 空気の通り道である通気層の厚みは15~18㎜が一般的です(胴縁15~18✕45、±0.5㎜、野材の乾燥収縮によるヤセ、契約で通気層厚さが指定されている場合あり)。


以前に5.5㎜合板を入れて通気層5.5㎜厚さで実施したことがありますが、通気性能は適正に確保できませんでした。これは空気には「粘性」があるためです。

薄過ぎる厚さでは通気しません。細過ぎるストローでは上手く吸えないようなものです。

サイディング材を横張りする場合の縦胴縁では、通気しやすいです。

下地の間柱ありサイディング材を縦張りする場合の横胴縁では、下から上への空気の流れを考えて、欠き込みのある材料を使用します。2mにつき30㎜以上の隙間を開ける必要があり。下地の間柱は@455㎜です。

壁の中を空気が通るということは、結露や雨漏りによる若干の水分は乾燥してしまいます。耐久性という点で素晴らしい工法です。 しかし当然に胴縁を打つ分コストアップになります。このあたりは外観から見ただけでは解りません。

見た目は同じですから、コストダウンしなければならないときに、ターゲットになりやすい部分です。 逆に性能はその分落ちていることになります。このあたりを建築主が理解した上で、敢えてコストダウンをされれば、それはそれで良いのですが、意味がわからないままのコストダウンは何らかの代償を支払っている場合がありますので、注意する点かと思います。 コストダウンではなく、仕様ダウンです。空気の流通のない密閉された空間を壁体内に設けるのは好ましくありません。

壁体内には何らかの湿気が必ず含まれます。密閉された空間では必ず弊害が生じます。通気すればこの問題は解消します。 従って最近は原則的に、通気工法が採用される場合が一般的です。雨漏りは通気層の無い直張り工法での事例が多いです。 通気工法なら、多少の雨漏りは胴縁厚み部分18㎜の通気層の中を雨水が流れ、速やかに排出されますから問題は生じません。


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