通常の屋根勾配は、3寸~6寸勾配で、平均5寸勾配です。
5寸勾配とは下辺10に対して立上り5の直角三角形を意味し、その斜辺が屋根部分です。
これらの勾配では雨の漏れる可能性は少なくなります。
屋根材メーカーもこの範囲の屋根勾配を想定して施工マニュアルを作成しています。
この範囲から外れる場合は当然、何らかの追加対策を講じる必要があります。
緩い勾配になるほど、雨漏りの危険性が増します。
3寸未満の緩勾配になりますと、雨漏り対策上、屋根下葺き材のアスファルトルーフィングが通常のものではなく、粘着性のあるレベルアップした材料にする等の配慮が必要になります。
中には0.5寸~1.5寸勾配の屋根が設計されることがあります。
防水工事ならよいのですが、この勾配を屋根工事で設計するのは、雨漏りの観点からは問題です。
デザイン以前の問題ですが、最近増加傾向にあります。このような場合は、施工上の特別対策が必要です。
それでは、急勾配になればなる程良いかといいますと、そうでもありません。
6寸勾配以上の急勾配になりますと、施工上危険と判断され、屋根足場を施工することになります。
点検時も簡単には屋根に昇ることができず、点検しにくい状態・メンテナンスしにくい状態になります。
工事の時点で屋根足場を設置するのはわかりますが、点検するときにも屋根に昇ることができないのは問題です。
屋根工事の防水性については、屋根材料(瓦・彩色石綿板等)で一次防水をしますが、これだけでは完全に防水にならないのです。
この下葺き材のアスファルトルーフィングで2次防水をします。
2次防水も期待して、総合的に防水をしているのです。つまり屋根材料の下部分にも雨水は少し漏れているのです。
これは下葺き材の施工が極めて重要であることを示しています。
この下葺き材の重なり幅寸法、水の流れに逆らわない貼り方、棟部分・隅棟部分・谷部分・立上り取り合い部分・トップライト周りなどのいわゆる役物箇所の施工確認が必要です。
同じフラットルーフのある建物でも、被害を未然に防ぐことができる場合もあります。
同じように落ち葉が詰まって水が溜まっていたのですが、その溜まった水が
ガラス面に反射してキラキラ光り、建築主が異常に気付きました。
オーバーフロー管までいかずに落ち葉を取り除くことができました。
特に環境の良い緑の多い地域では、珍しい現象ではありません。
いずれにしても、フラットルーフで点検できないシステムを設計することは、維持管理は「人の問題」の領域になり、バラツキます。
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