片棟・片流れ屋根は、最近流行のデザインです。
狭小間口でもスッキリしたデザインということで好まれます。
1枚屋根ですから、雨漏りの点で優れているのですが、下から吹き上げる風雨による、雨漏りがしやすいデザインということも事実です。
特に軒の出の短い場合は要注意です。
問題は、鼻隠し~軒天~外壁の取合いです。
特に台風などの強風と大雨が重なりますと、軒天~外壁の取合いは水を受ける形になり、きっちりとした水の流れを確保しないと、雨水が外壁から内部へ浸入することになります。 下から風雨が吹き上げる場合です。
この状態で水が入らないか、入っても直ぐに排出する必要があります。
その方法の1つが水切りを施工しておくことです。
「外壁勝ち」という表現をしますが、外壁を上へ延ばしておいてから、その外壁に対して軒天材を取り付けると、水の流れはスムーズになります。
逆に軒天を先行してから、その軒天に対して外壁を取り付けると、接合部分から雨水の浸入する場合があります。
従って、雨漏れには軒天先行ではなく、外壁先行が好ましいことになります。
軒天先行では外壁通気層の空気の流れは土台水切りから入りますが、出口が無くなり、空気が流れなくなります。
では何故、軒天先行が行われるのか?それには理由があります。 施工する職人が軒天は大工、外壁工事はサイディング施工業者や左官です。
職人が異なります。
最近は、外壁・軒天・樋などを1式で請け負う業者もでてきました。
現場では雨仕舞いの点から、できるだけ早く、雨が降っても影響しないように、屋根・外部取合いのサッシ・シャッター・庇取り付けなどを急ぎます。
外部仕舞い・雨仕舞いなどと呼びます。
大工としては外部仕舞いの重要な要素である軒天作業を、内部作業を放っておいても急ぎます。
もし外壁サイディング工事が先に入ったら軒天工事をストップしておかなくてはならないからです。
職人同士は同時に同じ箇所で仕事をすることを好みません。
この点は職人の世界では厳格です。
外部の雨仕舞いが残ることになります。 通常の職人は残工事があることを好みませんので、その箇所の仕事を完了させたがります。従って、雨仕舞いの為よりも、職人の都合で軒天先行が行われます。
一般の方には、見た目に同じようで、気付きません。
ただし、軒天先行であっても、捨てフェルトがきっちりと施工してあれば心配はありません。現場での施工方法は1つではありません。
その施工方法に応じた納め方があります。
建築主の大切な財産をできるだけ濡らさないでおこうという配慮です。
現実に雨の多い日本の気候の中で、土台敷きから上棟、野地仕舞い、屋根シート掛けまで、一度も雨に濡れなかった場合は極めて幸運といえます。
通常は何回か雨にあたることになりますが、雨にあたらない方が好ましいのは事実です。
木材は工事中に雨に濡れても、直ぐに乾燥しますから、特段の問題が生じることはありません。それは一度乾燥させた木材は、気乾状態(含水率15%)に近い状態、含水率を約20%以下にした場合は、雨に濡れても非常に早く乾燥する性質があります。 OSB合板・パーチクルボードなどは雨に濡れると膨れ・反りがでやすく好ましいことはありません。
現場では、材料の搬入状況や職人の都合により、作業手順が必ずしも一致しないことがままあります。 方法は一つだけではありませんので、与えられた条件の中で納めていきます。
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