バルコニー笠木と本体外壁の取合いは、“3面交点”と呼ばれる雨仕舞い上、始末に悪い部位となります。外壁面・手摺壁天端・手摺壁側面の3面が1点に集中する部位となります。取合いというだけで、雨漏りリスクが高まりますが、それが、3面が取合うと、施工が難しくなります。
仕上がった後ではわかりませんが、工事中を見ると、お粗末な施工も多くあります。このような部位は、どのように納めるか、事前に工事監督と職人がミーティングすると問題はおきません。つまり職人は正しいやり方を知っているということです。少しだけ面倒くさい施工になりますから、お任せにすると、職人によるバラツキが生じます。
1枚の外壁下葺き材の防水紙では、適正に施工できませんので、樹脂製の役物の使用や、伸縮性のある粘着防水テープが必要となります。本来、工事担当者はこのような部位こそ配慮して、現場で自分の目で確認しなければなりません。しかし、多くの住宅現場では、お任せになっています。新築当初は問題なくても、やがて雨漏りとして、発覚します。雨漏りの多くは、材料の選択を誤ったか、施工が悪いかのどちらかです。やりようによって、雨漏りしない施工にできたはずです。
後付けバルコニーが付く場合もあります。取り付け方が悪いと、シーリング材のみで雨水を防いでおり、シーリングの劣化とともに、雨水の浸入が激しく、ついには、取付け部が腐り、バルコニー自体が落下したという笑えない場合もあります。入居者もよく放置したものです。本来ならグラツキを感じ、異常に気付くはずです。相談できる雰囲気がなかったのかもしれません。
住宅現場には、工事監督は常駐しません。監督は1人で、複数の現場を掛け持ちします。担当する棟数は住宅会社によります。また時期によります。ここがゼネコンによる、ビル建設とは決定的に異なるところです。そしてまさしくこの常駐しない点こそが、住宅建物の総合品質に大きく影響するところとなっています。職人が工事監督に、相談したいと思っても、そこにいないのですから、後回しになり、そのうちに忘れて、適当に納めています。後からでは、見た目にわかりません。
写真43-1 笠木と本体の3面交点
写真43-2笠木と本体の3面交点
写真43-3 3面交点の伸縮防水テープ
写真43-4 3面交点の樹脂性役物
写真43-5 シーリング劣化で雨水浸入
写真43-6 雨水浸入で腐り、落下
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