洋間の床に、カーペットを敷き詰めることはほとんどなくなりました。理由はダニの発生を危惧してのことです。ダニは、喘息やアトピーに、つながり、入居者の健康を害しますから、当然ともいえます。今では大半がフロアー張りになりました。
フロアーにも、無垢材と、合板に薄い化粧単板を張ったものがあります。コストの関係から、標準仕様としては、合板に薄い単板を張ったフロアー材を採用する住宅会社が多いです。一般的に価格の安いものほど、品質面で問題があり、端部にささくれがおきやすくなり、靴下に引っかかります。
壁・天井のクロスは、古くなると、張替えする材料ですから、安いものでもかまいません。床は、長く使う材料で、張りかえをする材料ではありません。床材料には、少し高価ですが、長期間使用する条件で、無垢材仕様が調湿作用もあり、よいと思います。しかし合板仕様よりも、反りや収縮が大きくなります。住宅会社としては、追加金額が発生するものは、面倒くさいといういうことで、余り説明しません。追加金額発生は、契約した建築主に言いにくいのです。建築主は気付かないことですから、特に要望することもありません。本当は、住宅会社側から提案するとよいのですが、そのままになってしまうのが現実です。
無垢材であっても、多少のささくれは発生します。全く欠陥がゼロという材料はありません。“無垢材の味”ともいえますが、建築主に理解してもらえないこともあります。これを理由として、住宅会社は、合板を採用する理由になっています。
床暖房をする場合には、床暖房対応フロアー材を使用しなければなりませんが、無垢材にはつきものの、反りや収縮による不具合発生のリスクを回避するために、合板を採用することが通常です。
ウレタンコートは、フロアーの表面に硬質の膜をかける効果があるため、ささくれ予防にはなりますが、同時に無垢材特有の、素材感を損なうことになります。
入居者の考え方によりますが、多少のキズは許容したいところです。床の仕上がりについては、優先順位をよく検討する必要があります。自然素材は、ある程度、メンテナンスに時間やコストはかかりますが、使えば使うほど、新建材には見られない味がでるのが魅力です。プラス面とマイナス面の両方を説明しなければなりません。住宅業界では、この点が甘いところで、多くのトラブルの原因になっています。説明しすぎることはありません。
メンテナンス段階としては、フロアー材料の種類にかかわらず、ささくれを削りとり、上からコーティングする程度になります。
なお、大工の常識として、張り始めと張り終わりを考えて、目立たないところに、継手を入れて、目立つところのアラをうまく隠します。ひとによるバラツキになります。工期に余裕がないと、気づかいのしようがありません。
写真49-1 フロアー材のささくれ材料をカットした面を入り口側に施工したため、ささくれが目立ちます。本来はここに、カットしない面を施工するときれいに納まります。
写真49-2 無垢フロアー材の隙間
無垢材のフロアーにおこる現象です。乾燥収縮による隙間ができて、見苦しくなっています。合板フロアーでは、ここまでひどくはなりません。
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