
玄関ポーチやテラスなどの、土間コンクリートの仕上げとして、タイル・石・モルタルコテ押さえなどを行います。それらの仕上げ材が、下地コンクリートと接着せずに、浮く場合があります。
原因としては、下地の水湿しが不十分であると、本来の硬化に必要な水分が、下地に吸収されてしまう、“ドライアウト”と呼ばれる現象があります。あるいは夏場の高温や、風の強い日の急激な乾燥など、気象条件も原因となります。

一度浮いたものは、勝手に再接着しませんので、張替えせざるを得ません。様子を見るといって、先に延ばしても意味はありません。
アスファルト防水をしたバルコニーの保護押さえに、モルタルを施工する場合にも、よく見られる現象です。1箇所も浮いているところがない場合には、むしろ運がよかったといえます。
見分け方は、手でノックするように、コンコンと土間をたたけば、音が異常ですから、すぐにわかります。実際は“テストハンマー”と呼ばれる、棒の先にパチンコ玉のようなものをつけたものでたたきます。“打音検査”です。浮いていない部分と比較すると、音がまったく異なります。この現象は比較的早期に発生する現象といえます。主要な部位ではないため、保証期間は通常2年ですが、それまでには判明するのが一般的です。
浮いた状態を放置するとどうなるかといいますと、やがてひび割れが発生します。モルタルなどの水を使用する材料を湿式材料といいますが、湿式材料は、乾燥収縮によるひび割れが必然的におこります。ただし、どの箇所に、ひび割れが発生するかは事前にわかりませんので、誘発目地を設けて、その箇所にひび割れを限定させる計画もあります。当然に発生する、ひび割れの設計です。
浮いた箇所では、ほぼ確実に、ひび割れが発生しますが、ひび割れは見た目に、印象が悪く、それだけで欠陥住宅と呼ばれる場合もあります。事前にひび割れの可能性を、入居者に説明しておくべきです。浮いた状態では、その箇所さえやり直せば、構造的な影響もなく、心配することはありません。欠陥ではなく、通常に発生するもので、対処可能なものです。
写真08-01 ポーチ仕上げタイルの浮き
玄関ポーチの土間コンの上に仕上げ材として、300㎜角のタイルを張りましたが、浮いています。テストハンマーを転がすと音が異常です。
写真08-02土間コンのクラック
コンクリート・モルタルなどの湿敷材料は乾燥収縮するためにひび割れが入る可能性が高いです。浮きがあると、ほぼ確実にひび割れしてきます。
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