外壁には“外壁通気工法”になっているか、あるいは通気なしかが、問題となります。建物の耐久性に大きく影響するところです。古い建物では、ほぼ外壁通気層はありませんでした。
外壁が左官仕上げの場合
外壁通気を確保しない場合が大半です。この通気工法が採用されている場合には、メンテナンスする立場として、ありがたいことです。少しの雨漏りや、結露に対しても、通気層により、湿気を排出してくれるからです。外壁通気層により、建物の耐久性は、飛躍的に向上します。
なぜ採用しないのかは、コストです。コストが高くなるから、通気工法を採用しない場合が多いのです。それは、建築主にわかりにくい部分であり、外壁通気のメリットが、うまく伝わっていないためで、コスト削減の方を選択するのです。住宅会社の、特に営業担当者は、通気層については、積極的に説明していません。技術的な内容については、勉強不足の人が多く、自分でその効果を認識していないため、説明しないのです。外壁が左官仕上げの場合でも、通気工法にすることは可能ですから、新築の際には、必ず通気工法を採用すべきです。
例えば、雨漏りが原因で、外壁を1面全面に、やり直す場合があります。このようなときには、その面だけでも、通気工法に変更しなければなりません。壁が通気層の厚み分だけ、厚くなるため、面の途中で分けることはできません。1面全面のときは違和感がないと思います。外壁に通気層がない場合には、前項の外壁のひび割れから、雨水が浸入した場合、下葺き材(アスファルトフェルト・透湿防水シートなど)の弱点部(タッカー跡など)から、容易に雨漏りになる可能性があります。
外壁がサイディング仕上げの場合
外壁がサイディング張りの場合でも、古い建物では、通気層を設けることなく、サイディングを直張りしていました。通気層がない場合には、”毛細管現象“の状態になり、浸入した雨水は、排出されずに、滞留します。若干の雨水は下葺き材まで浸入しています。つまり、下葺き材の上には水が流れていることになります。ここは重要なところです。アスファルトフェルトや透湿防水シートなどの外壁下葺き材の施工は、雨漏りや結露対策として、非常に重要です。現場では、重要性を認識することなく、手早く施工しがちです。下葺き材の施工が完璧であれば、雨は漏れません。現場でみていると、下葺き材の施工は、丁寧さを無視して、手早くおこなわれがちです。
新しい建物では、標準仕様で、外壁通気工法が採用されています。サイディング業界の英断といえると思います。いまでは、特に指示しなければ、通気工法が採用されます。年代により、仕様が異なることはよくあります。基本的に新しくなるほど、よりよい仕様になっています。
いまでも、コストを重視する建売住宅などでは、通気層をとらないことも多いです。わざわざ標準仕様の通気工法を中止します。見た目にはわかりませんから、素人の購入者は、気付くことがありません。営業担当者も余計なことをわざわざ説明することはありません。マイナスのところを説明して、契約できなかったら困ります。コスト削減以上に、耐久性低下になりますので、注意して下さい。
外壁通気層の有無は、確認事項として重要です。メンテナンス担当者の立場としては、その現場の外壁通気層の有無をカルテに、メモしておく方がよいです。将来の外壁取替え時には、通気工法に変更しなければなりません。
外壁通気工法の胴縁
透湿防水シートに縦胴縁を施工してからサイディングを張ります。
外壁通気層により、建物耐久性が大幅にアップします。
外壁通気工法の金具
透湿防水シートの上に専用金具を取り付けてから、サイディングを張ります。通気層により雨水・結露水を排出します。
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