• 玉水新吾

外壁左官のひび割れはないか

建物の外壁は、面積も大きく、目立ちやすいところですから、点検項目も多岐にわたります。

 モルタル(水+セメント+砂)などの左官材料を使う問題点は、乾燥収縮によるひび割れが発生する可能性です。水を使う湿式材料では、乾燥収縮は必ず生じます。つまりひび割れが発生する可能性は、極めて高いことになります。まったくひび割れのない外壁を施工することは、むしろ難しいといえます。外壁のひび割れは目立つために、入居者は嫌います。即欠陥住宅として、クレーム化する場合もあります。不同沈下などの構造的な問題は、大きいのですが、乾燥収縮によるひび割れは、建物にとって、大した問題ではありません。見栄えが悪いから、大きな問題とされているだけです。ひび割れが発生してから、技術的説明をしても、入居者は納得しないことが通常です。ひび割れする前から、ひび割れする可能性について、説明することが肝要です。普段からの説明は、メンテナンス担当者の重要な義務の1つといえます。

乾燥収縮には時間がかかるために、いま、ひび割れが発生していないからといって、将来もひび割れしないという保証はありません

 昔はスサと呼ばれる藁を入れて、ひび割れを減らしました。今では、ガラス繊維メッシュを、モルタルの中に入れて、ひび割れを拘束することにより、ひび割れは入らないか、入ってもごく小さなひび割れにする工夫をしています。モルタルの下塗りの次に、ガラス繊維メッシュを張ってから中塗りをかけます。モルタルのアルカリ成分に、おかされない特殊なガラス繊維が開発されています。古い建物はこのような工夫はされていません。

 左官工事には、乾燥時間も必要なため、工程も問題となります。建築主の都合もありますが、住宅会社による、工期遅延が問題です。事情により、工期が遅延すると、契約違反となり、ペナルティーがかかりますから、何とか工期に間に合わせる努力をします。

住宅会社には、“決算期”という問題もあります。建物の耐久性に大きく影響する場合があります。本決算が3月、中間決算が9月という会社が多いのですが、業績が悪いと、前倒しを考えます。決算までに無理をして建物を仕上げてしまいます。建築主の意図は無視して、住宅会社の業績だけを考えて行動する可能性があります。無理をする際に、適正な乾燥期間を短縮する可能性があります。工期を短縮すると、見た目はわかりませんが、当然ひび割れの可能性は増加することになります。いろいろな原因が付加されて、ひび割れは生じます。基本的に工期は、延ばせばよいわけではありませんが、無理して工期を短縮すると、よいことはありません。その前に段取りが悪いといわれれば、仕方ありません。本来ならば、正常な工期が確保できたはずです。

ひび割れを補修する際には、建物が完成してからの時間の経過が、どれくらいかを判断します。2年未満では、まだ落ち着いていないので、さらにひび割れの可能性があります。2年以上経過して落ち着いて、現在のひび割れの進行が止まったと判断してから補修します。進行中なら待った方がよいです。入居者がクレームをつけて、待ってくれない場合もあります。したがって、あらかじめひび割れについては、説明が必要なのです。

住宅会社による保証期間について、ひび割れは2年程度です。10年保証は不同沈下などの構造と、雨漏りです。他は10年保証ではありませんが、入居者はすべてが10年保証と思っている人もいますので、保証期間も保証書を一緒に見ながらの説明が必要です。ひび割れ補修の際も、2年以内に無理をしておこなわなくても、補修約束をして、少し時間経過してからおこなった方がよいです。事前説明がない場合には、即欠陥住宅として、補修を要求される場合もあります。

 長く住む建物に対して、急いで工事をすると、よいわけがありません。



モルタルの中にガラス繊維メ

ッシュをいれて、ひび割れを

防止します。モルタルに発生

する乾燥収縮ひび割れをガラ

ス繊維が拘束します。入って

も微細なひびわれになります。

サイディングにはない味があ

ります。

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