外部に見える木部の塗装は劣化していないか

日本の高温多湿気候の中で、木部を外部に露出することの意味を考えて
おく必要があります。建物の維持管理上のリスクになります。また、雨水
と紫外線といった環境が悪く、その分良い材料を使わなければなりません。
並のレベルの材料であれば、すぐに反り・ヤニ・割れなどがでてくるため
です。贅沢な仕上げといえます。
昔の古い神社仏閣では、露出した木部は常時、風通しのよい条件になっ
ていました。雨水に濡れたとしても、乾燥しました。そして、数百年以上にわたって耐えてきました。ただし、神社仏閣に使用される材料は、材料自体の寸法が大きく、品質も最高級品でした。施工も、当時の超一流の大工が、膨大な時間をかけておこないました。メンテナンスにも充分なお金と手間を惜しみませんでした。だからこそ、耐えてきました。通常の住宅とは、単純に比較できません。住宅のように、坪単価を安く、工期は短く、品質はよくといった要求の中では無理もあります。
外部に露出させる木部には、塗装を行うことが通常です。雨水と紫外線の影響を少しでも、避けるためです。塗装せずに白木のままでは、新築当初はよいのですが、直ぐに劣化の兆しが見られ、汚れて醜くなります。まもなく塗装されることになります。
メンテナンスも必要で、数年に一度、最悪でも10年以内には再塗装が必要です。放置すれば、再塗装不能状態になりかねません。外部に露出する木部の、雨と紫外線条件によってかわりますので、一様に劣化していくわけではありません。日ごろの目視確認と、塗装時期の判断が重要です。営業的に、仕事がとれることにメリットがある人なら、いつ聞いても、そろそろ再塗装時期ですと回答します。早いほうがよりよいことは事実です。雨の多い日本の気候は、いまや熱帯雨林に近いといわれています。10年目の再塗装は目安となります。
塗装範囲が、低い位置で、部分的で面積が大きくなければ、入居者自身が塗装すればいいのです。足場を設置しなければならない位置では難しくなります、ハシゴによる塗装は安全上厳しいものがあります。劣化の激しいところだけでも塗装すれば、かなり違います。外国では当たり前のことですが、日本では、入居者自身が塗装している姿はまったく見たことがありません。まったく恥ずかしいことではなく、メンテナンスに関わることにより、お金の節約はもとより、建物に対する愛着もわき、子供に対する教育効果もあります。入居者が建物の維持管理に関わることにより、建物がながく使われることになります。
住宅建築に携わる技術屋でも、自分の家のメンテナンスにおいては酷いものです。通常の方以上におこないません。我ながら情けないです。雨は漏り、床鳴りはして、クロスははがれ、建具の開閉は調子悪く、寝に帰るだけです。食事と風呂と睡眠をとるだけですから。お金はかけることができません。
入居者が直接メンテナンスを行えば、近所の手前、格好よいと思います。難しいところのみを職人にまかせ、後は自分がやり、少しは家族に手伝ってもらい、晩御飯ぐらいお礼に、外食でという感覚でよいのです。
木部の塗装ですが、最初は薄めの透明にします。オイルステインで色をつけ、ワニスで仕上げていきます。再塗装のたびに濃い色になっていきます。最終的にはペンキ仕上げになります。