入居者からまず、聞き取り調査を行います。屋根からの雨漏り事例としては、穴をあけるところと、取合いです。外壁と同様です。ここでも1次防水+2次防水のセットで考えます。つまり、2次防水の下葺き材であるアスファルトルーフィングの施工が、生命線になります。
例えば、屋根における雨漏りしやすい部位の候補をあげますと、
1.フラットルーフ
2.屋根からの取合い立上がり部
3.本体~下屋軒先取合い
4.水を堰き止める
5.片棟・片流れ屋根
6.パラペット立ち上げ
7.アスファルトルーフィングのタッカー
8.軒の出なしのケラバ
9.トップライトまわり
10.ドーマー・煙突・換気トップ
これらの雨水浸入口の候補を、確かめる必要がありますが、散水試験を実施します。雨漏りを再現することになります。
「雨漏りがする」という証明は簡単にできます。散水試験をおこなって、漏れてきたら、それで証明できます。浸入口を的確に見つけだして、実際に水を出すのは難しいですが、理論は簡単です。
ところが、「雨漏りがしない」という証明はできません。散水の継続時間・場所・方向により、条件は無数にありますので、1時間の散水試験で出なくても、3時間の散水で、でることもあります。永久に証明できないものであり、これを“悪魔の証明”といういい方をされることもあります。補修工事を終わると事実上、「これで雨は漏りません」と言わざるを得ません。散水試験に時間をかけて、自分が納得するまで継続することになります。手間を惜し
み、結論を急いではいけません。後から恥をかくことになるかもしれません。
訪問販売という言葉があります。悪徳リフォーム業者の代表のように思われています。悪徳リフォーム業者がはびこる理由ですが、受注金額が500万円未満の工事では、建設業許可不要で開業できます。行政指導を受けても、会社を倒産させて、社名を変えて、詐欺行為を続けることができます。
悪徳リフォームの多いのが、屋根・外壁・床下・小屋裏工事です。技術的レベルが低い工事や、意味のない耐震補強を平気でおこないます。相場のわからない部分が多く、悪徳業者のやりたい放題という結果になるかもしれません。訪問販売によるトラブルの多さは圧倒的です。
無料点検・モニター・キャンペーン中などの値引き商法などがあります。そして1度契約すると、カモとしての名簿が出回るようで、次から次へとやってきます。契約を渋ると脅されます。
ここからが重要なところですが、住宅会社の保証期間中(雨漏りは10年)であっても、屋根工事に、訪問販売による他の業者が、仕事をした場合に、どうなるのかです。その後に、屋根から雨漏りした場合、本来は住宅会社の保証期間内ですから、無償で補修されるはずです。ところが、住宅会社によっては、他の業者が仕事をした以上は、免責を主張します。雨漏りの責任の所在が曖昧になっていくのです。
入居者にとって、10年という保証期間内であれば、住宅会社以外の業者を安いからといって入れることは、大きなリスクを背負う結果になりかねません。肝心の構造や雨漏りの保証期間が切れてしまうのです。少しのお金を節約して、多くの損失を被るという、入居者の不利益になる可能性があります。基本的には、新築した住宅会社によるメンテナンス点検を、継続することが必要です。
写真 築30年の下葺き材の劣化
写真 下葺き材劣化の雨漏り
下葺き材のアスファルトルーフィングを触ると、劣化が激しく破れました。
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