床下点検口・床下物入れは、通常は600㎜角で、床組の根太を切断しており、構造上の弱点となります。フタには補強されているものの、グラツキが生じます。スライド式なら、収納スペースは広範囲になりますが、蓋は1箇所のみで、全体に弱くなることはありません。1Fの床については、法的に主要構造部ではなく、大した話ではないのですが、クレームをつける人は多いです。キッチンや洗面に設置されることが多く、主婦は毎日、頻繁にのるために、気になるのも無理ありません。
枠金物周辺のあたる部位のガタツキに対しては、“潤滑油”を吹き付けます。使用としては便利なもので、車に常備しておきます。蓋のたわみに対しては、補強金物を追加することになります。通常1本の補強金物を、2~3本いれます。通常に施工可能な範囲で、改善することになります。入居者も多少の難はあっても、一応納得してくれることが多いです。
メンテナンスによる定期点検時には必ず、蓋をあけますから、事前に連絡して、入居者に荷物をどけておいてもらいます。気を使って、こちらでどけても、入居者は位置が違うなど、返って不快に感じることになります。
床下には実際に入ってみて、床下状況を確認する必要があります。建売住宅などでは、床下点検口を設置していない場合もありますが、よほど、見られることがイヤなのでしょうか。和室の畳の下や、物入れの床を調べても、点検口がないこともあり、困ります。気付いたときには、傷みが激しく、遅すぎたということがないようにしなければなりません。中には、床下点検口・天井点検口ともになしという場合もあります。コスト削減が過ぎて、必要なものを削ったことになります。
なるべく広範囲に点検します。問題なければ床下を徘徊するだけです。結構、木屑が残っている場合もあり、工事中のアラが見えます。床下では、職人の人間性がわかります。床下空間には、埃や砂があり、作業服が汚れます。問題ない服装と靴を用意して、マスクが必要となることもあります。合羽を来て入る職人もいます。要領のいい人は、車のついたボードを用意して、腹這いで滑って進行します。ただしベタ基礎の場合のみで、布基礎で内部が土の場合にはできません。床下点検完了後、汚れた服装のまま床上にあがると、入居者にイヤな顔をされます。迷惑をかけないように、養生シートを敷いておきます。
床下の湿気・換気・白蟻・断熱状況・構造の傷み具合・水漏れなど、ひと目で異常を察知することができます。入居者がときどき、点検してくれればよいのですが、そうもいかないようです。
床下点検口の位置の設計は難しく、めったに使うことがないとの理由で、洗面所の洗濯機の下に450㎜角で、設置する場合もあります。この場合には、グラツキも問題になりません。しかし洗面所は風呂の隣で、洗面・洗濯など水周りが交錯しており、入りにくいです。職人泣かせで、メタボの職人では無理です。メンテナンスの立場としては、基本的に浴室の前が妥当と思います。
浴室前に設置した洗面所600㎜角の床下点検口
600㎜角と大きく、メンテナンスしやすい点検口ですが、頻繁に通行する位置に不満をもつ入居者も多いです。足拭きマットを敷いて目立たなくします。
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