バルコニーの手摺壁に、風抜き穴や、段差が設置される場合がありますが、雨漏りリスクを著しく高めます。デザイン上の目的があるかもしれませんが、施工は難しくなります。
それは風抜き穴の下両端コーナー部が“3面交点”となるからです。3面交点では、1枚の平面の防水シートだけではうまく施工できません。伸縮性のある粘着防水テープや、樹脂製の役物が必要となります。通常に施工すれば、シワがよって、粘着しません。またカッターナイフで切ると、ピンホールがあくことになります。
風抜き穴の下側、外側に2箇所と、内側に2箇所が問題箇所となります。風抜き穴を1箇所設置すると、4箇所の雨漏りリスクが発生することになります。小さなスペースで、施工もやりにくいところです。1箇所ぐらい、難があるかもしれません。手摺壁に1箇所、段差をつくると、内外に2箇所の雨漏りリスクが発生することになり、水を受けます。
バルコニーが外部へ、はねだしている場合には、雨漏りしても、外部に排出され、入居者は気付かないかもしれません。ところが、バルコニーの下が居室の場合には、即雨漏りになります。このようなリスクの高い部位は、職人と工事監督が打合せの上、慎重に時間をかけて、施工しなければなりません。施工は意識的に注意を払えば、いかなる場合であっても、雨漏りを防ぐことは可能です。
メンテナンスの立場としては、職人や工事監督が注意を払わなかったという想定で、見なければなりません。雨漏りリスクの高い部位が、現場に存在したならば、重点的に確認しなければなりません。雨漏りは何らかの兆候がありますから、感受性で気付いて欲しいものです。
雨漏りは、どこから雨水が浸入しているかを見つけ出すことが生命線になります。雨水の出口はわかるのに、入口がわからないのです。過去の経験から、多くの可能性の候補をだして、1箇所ずつ散水試験で確認していく地道な作業が必要です。前工程の人の不具合を、自分が解決していきます。解決できたときは、入居者に対して、少し顔がたち、技術屋の自己満足も感じます。
写真46-1 居室上部のバルコニー手すりの風抜き穴
風抜き穴をつくると、3面交点が多くなり、雨漏りリスクが高まります。伸縮性防水テープや樹脂性役物を段取りしなければ施工できません。
写真46-2 バルコニー手すりの段差
手すりの段差も3面交点を形成して、雨漏りリスクが高まります。工事中に特別の配慮がされれば、問題になりませんが、お任せ施工が多いです。
Kommentare