建物内には、ひとの体に悪い物質が含まれています。最も有名なものがホルムアルデヒドです。この水溶液がホルマリンです。この中に漬けておくと腐ることはありません。住宅現場では、接着剤を使用します。合板材料には製品の中にすでに含まれています。建物以外の家具や、自動車の排気ガス・煙草の煙にも含まれます。
ホルムアルデヒドの規制は0.08PPMです。WHO(世界保健機関)で決められた基準を日本は採用しています。PPM(parts per million)という単位ですが、1/1,000,000です。%は1/100です。イメージしにくい量ですが、化学物質はこれくらいの微量であっても、人の体に異変が生じます。頭痛・めまい・吐き気・発疹・じんましん・アレルギーなど、人によります。個人差が大きく、全員が同じようにでるわけではありませんが、体によくないことは確かです。
塗料に含まれるトルエン・キシレンなどは、中枢神経をおかします。壁・天井の仕上げはほとんどがビニールクロス仕様です。可塑剤・防黴剤・難燃剤など多くの化学物質が添加されています。他にも殺虫剤・防虫剤・抗菌剤・白蟻駆除剤なども原因となります。
規制は一応ありますが、13物質だけです。規制対象外の物質は多数あります。新たに開発される化学物質には、よくわからないものも多いのです。家の中は化学物質だらけですが、最近では、“F☆☆☆☆”など、材料の選定がなされ、微量になって、問題になりにくくなっています。
“シックハウス症候群”の症状は、個人差が大きく、非常に多岐にわたります。不定愁訴と言われるような、本人にしか自覚できない症状が多く、自律神経失調症や更年期障害、風邪などと間違われます。はっきりとした症状を示さず、なんとなく調子が悪いと思っても、シックハウス症候群だと気付かないことがよくあります。“化学物質過敏症”は、さらに深刻な状況です。極めて微量でも体が反応するようになります。通常の病院では対応できませんので、専門家に相談するしかありません。
入居者の様子を見て、異常を聞き取りますが、“24時間換気”は必要ですから、スイッチを切ってはいけません。
写真58-1 断熱材ロックウールのF☆☆☆☆表示
壁の内断熱に使用するロックウール75㎜厚のF☆☆☆☆表示です。市販品の中では、ホルムアルデヒド含有の最高級品となります。
写真58-2 野地板合板のF☆☆☆☆表示
野地板に使用する合板12㎜厚のF☆☆☆☆表示です。通常の方法では、このマーク確認でよしとします。
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