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玉水新吾

1-2ライフサイクルエネルギーの削減する方法


LCE(ライフサイクルエネルギー)という考え方があります。この考え方は、重要な概念です。人が住む住宅においては、極めて長期間にわたって、エネルギーが継続して必要となります。

第1段階:

建設前に、アルミサッシなどの建築材料を作るにも、莫大なエネルギーが必要です。

第2段階:

建設工事そのものに、多種多様な材料を大量に使って施工しますから、莫大なエネルギーが必要です(イニシャルコスト)。

第3段階:

竣工後、建築主が生活する上で、冷暖房・給湯・照明・各種電化製品などのエネルギーが、数10年間に必要です(ランニングコスト)。

第4段階:

建物を解体撤去して、産業廃棄物にする際にも、莫大なエネルギーが必要です。

これらの4段階全部のエネルギーを合計したものが、ライフサイクルエネルギーです。これらのエネルギーの合計を、最小にすることが、環境にやさしいということになります。ライフサイクルエネルギーを最小にする方法は、たったの1つしかありません。

それは、住宅を長く使用することです。住宅を長く使用することだけが、唯一の正解です。

エネルギーで考えましたが、コスト(ライフサイクルコスト)で考えても結局同じ内容になります。つまり、建物を長く使用するほど、得をすることになります。

今後は社会的要請として、今までの日本で、普通に行われていた、“30年スクラップ&ビルドシステム”は、崩壊していきます。住宅ローンを常にかかえているサラリーマンは、豊かさを永久に実感できません。

大量生産・大量消費・大量廃棄型の建物を、無批判に受け入れてはなりません。メンテナンスして、全面解体撤去の時期を先延ばし、少しでも長く使用しなければなりません。家族構成の変化があれば、条件が変わります。家族の変化に対応できるかが重要です。現状だけではなく、10年先・20年先の状況への想像力が求められます。子供は巣立ちます。親元に戻ってこない可能性もあります。子供部屋の数だけ物置部屋が増えるかもしれません。

建物を解体撤去して再建築することなく、メンテナンスして、場合によってはリフォームして、長く住み続けることこそが、社会的要請であり、個人としても得をする結果となります。


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