top of page

1.くらづくり 蔵造り

土蔵と同じ構造で建てられた住居または店舗。店蔵(みせぐら)が最も良い例。外壁は、塗屋より厚く、木部は全て土で覆われ、開口部も観音扉または土戸によって防火的とする。

 

2.しんかべつくり 真壁造り

  真壁による建物の造り方。真壁は、和風木造建築における伝統的構法で、壁を柱と柱の間に納め、柱が外面に現れる壁。壁は柱に貫を通して受ける。伝統的構法では小舞下地として、これに土壁・漆喰壁などに仕上げるのが標準的なものであった(以下省略)

 

3.ぬりや 塗屋

木骨土壁の耐火建築の一つ。建物の外部のみを厚さ3~5㎝程度に塗り回したもので、柱は必ず隠れるが、垂木は塗り込められていない場合もある。内部からは柱が見えている。桃山時代以後民家に広く利用されたが、この構造の民家では塗り込められるのは両側壁のみで、正面と背面の1階は木部が露出しているのが普通。土蔵・店蔵の外壁よりは薄い。近世では大壁造りと称することもあった。

 

4.どぞうつくり 土蔵造り

木骨土壁の耐火建築構造の一つ。壁厚は20~30㎝程度。壁土で覆われているのは外部のみで、内部は木部が露出している。屋根を含め全てを土塗とする場合、屋根のみ木部が露出している場合がある。開口部は観音扉、土塗りの引戸、鉄扉などで塞がれ防火的とされる。火事が迫ると用心土といわれる粘土で開口部の隙間を目塗りすることが行われた。少なくとも鎌倉時代初期には既に見られ、「春日権現験記」に描かれている。元来は物を格納する倉庫として使われたが、近世になると店舗、座敷などとしても利用されるようになった。近世では関東と関西では多少構造を異にし、関西のものには、腰巻がなく鉢巻が狭い。

5.みせぐら 店蔵

17世紀中ごろ江戸で初めて造り出された土蔵造りの店舗。一般的な塗屋造りより耐火性がある。通常は2階建てで、1階前面には土戸をたて、他の開口には全て厚い土塗の扉を入れる。屋根は瓦葺、大棟は箱棟とし、厚い鉢巻と腰巻を回す。1階は売場としてしばしば床下に穴蔵を設け、2階は商品置場、丁稚小僧の共同の寝室および番頭専用の寝室から成る。台所・便所は別棟とする。享保年間(1716~35)から増大。この建物では、左官工事が多いので、これから以後棟札に大工と共に左官の名も連ねることが多くなった。関西にこの構造が伝わったのはかなり後のことで、嘉永年中(1850ごろ)船橋屋の大阪支店が最初という。

 

6.どぞう 土蔵

物を格納する建物の一つで木骨土壁のもの。外壁木部は壁土で覆われているが、内部では柱などの木部は露出している。1294年僧信聖の寄進状にこの文字が見え、「春日権現験記」に描かれている。

 

7.こしまき 腰巻

 関東の土蔵または店蔵において、外部の裾辺りの石垣を漆喰で厚く塗り込めた部分。高いものは2m位まであり膨らみがある。関西の土蔵にはこの部分はない。

 

8.はちまき 鉢巻

土蔵造りにおいて防火のために粘土と漆喰で厚く塗り込めている軒裏部分。軒端の壁下地に鉢巻貫を打付け、これに竹の下地を縄で取り付け壁土を塗る。江戸では幅広く厚く、京阪地方では狭く比較的薄かった。「頭巻(かしらまき)」ともいう。

 

9.かんのんびらき 観音開き

両開き戸で、その戸が更に開く方向と反対側に二つ折りとなる戸の開閉方式。

「建築大辞典」昭和51年彰国社発行による。

bottom of page