敷地の周囲に、鉄筋コンクリート製の擁壁がある場合には、その状態を確認する必要があります。擁壁は多くの種類がありますが、沈下・ひび割れ・はらみ・傾斜・排水口の位置と数量などを、定期点検時に確認しておきます。擁壁の構造は、鉄筋コンクリート製が通常ですが、150㎜厚のブロックで、1m高さまでの擁壁にしている場合もあります。高さが低くても、強度上は心配です。特に異常がある場合であっても、直ちに危険な状態になることは、まずありませんが、経過観察が必要です。変位が進行しているかが問題となります。
建物という大きな荷重(通常の2階建て住宅で約2t/㎡)が、いままでなにもなかった敷地に、新たに追加されたわけですから、条件がかわったことになります。条件がかわると、変化がおこる可能性があります。
建物の不同沈下など、地盤に異常がある場合、擁壁にも異常の芽が発見されることがあります。擁壁近くは、安定した地盤である切土ではなく、不安定な盛土となりますから、異常がでやすいところです。
盛土は地盤が安定していませんから、切土と比較して、強度はいかなる場合も不良になります。他の敷地で擁壁の異常が発見されれば、可能性が高まります。
地下水位や雨量が影響します。雨のときに擁壁の水抜き穴を見ると、勢いよく水が流れていることがあります。かなりの量の水が、擁壁の裏側に浸透していることになります。その水が滞留すると、擁壁に悪影響を及ぼすことになります。
住宅を建設する際には、敷地ごとに、地盤調査を行い、適切な基礎補強をおこないます。その地耐力に応じた補強を必ずおこないます。建物の不同沈下などの構造面に対しては、10年間の長期保証をつけることになっています。ただし、これは、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法 平成12年4月施行)によりますから、古い建物では、保証期間が短くなります。契約書に添付されている保証書などの約款を、個別に確認しなければなりません。
建物の主要構造部には、10年間という長期の保証がありますが、擁壁に対しては、保証条件が異なります。また擁壁には特別の補強を施さない場合もあります。すべてが10年保証と勘違いしている入居者も多いのです。建物と擁壁は、保証条件が異なるということを認識しておきます。
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