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バルコニー手摺のぐらつきはないか

バルコニー手摺に触ると、ぐらつくことがあります。よく見ると、ビス頭が見えます。上から直接、笠木板金にビスをもみこんで固定しています。“脳天釘打ち”といわれるお粗末な手法です。ビスをもみこんだ上から、シーリング材をつけていますが、速やかにシーリング効果はなくなります。上からシーリング材を塗っただけで、シーリング施工に必要な、幅も深さも確保できていません。防水テープをはさんでいる場合もありますが、ないよりはましですが、気休めです。

脳天釘打ちでは、上から雨水が容易に浸入します。手摺笠木部分の防水を破っているので、雨水は入り放題となります。まるでフィーバー状態です。下地の木部の腐りがはじまり、悪くなる一方です。浸入した雨水は、手摺壁内の気密性の良さが裏目に出て、排出されることなく、手摺壁内に滞留しますから、常時湿潤状態になります。昼間と夜間の温度差により、結露を繰り返し、木部は真っ黒になっています。水分が供給されると、白蟻の侵入を呼ぶ可能性も大です。最悪のパターンである“スパイラルダウン現象”になります。

 これに対し、下地に受け金物をビスで固定し、このままでは脳天釘打ち状態で雨水は入りますが、その受け金物の上に、板金材をはめ込む場合もあります。これで雨水がはいりません。若干浸入した雨水でも一旦受けて、自然排水できるシステムですから、雨漏りをおこしません。雨漏りを原因として、数多く痛い目にあってきた住宅会社による、改善改良が加えられてきた結果です。新しい建物から、対応されていますが、古い建物については、対応されていません。メンテナンス担当者が、個別対応することになります。この際、シーリングだけで、とりあえず止める場合もありますが、シーリングは1次的対応のみであり、時間経過とともに、雨漏りは再発しますので、本来は根本的対応が必要となります。ただし、住宅会社の経営状態にも影響します。

雨水の完全シャットアウトは難しく、大体シャットアウトして、若干浸入した雨水は、悪さをする前に、速やかに排出させるという柔軟な考え方が必要です。1次防水+2次防水のセットという考え方になります。



写真45-1 バルコニー手すりの脳天釘打ち

バルコニー手すりから、笠木に向かって、脳天釘打ちで固定しています。

上から気持ちでシーリングを塗っても雨水はすぐに浸入します。







写真45-2 バルコニー笠木を外すと釘穴から雨水浸入

脳天釘打ちから浸入した雨水は、笠木下地の木材を腐食させ、腐朽菌と白蟻の被害にあっています。構造体も傷みが激しいはずです。

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