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外部パイプスペースの天端と外壁、基礎の取り合いはどうか


パイプスペースとか、パイプシャフトと呼ばれる配管のための、空間があります。

① 建物内部で、押入れの中など目立たないところに設置する場合

② 建物外部で、配管パイプを露出する場合

③ 建物外部で、配管スペースを外壁と同じ材で囲う場合

 があります。

メンテナンス上は、最も良いのが②ですが、住宅には、機能性だけでなく、意匠性が求められるため、建築主から嫌われます。確かに排水パイプが露出していると、デザインがよいとは思いません。

 多く採用されるのが、①です。メンテナンス上は楽ではありませんが、意匠性は優れています。

 最近多く採用されるのが、③の外部露出配管で行い、その配管の周りを外壁と同材で囲います。メンテナンスも比較的楽で、意匠もまずまずです。この場合の注意点としては、パイプスペースの天端と外壁の取り合い、パイプスペースの基礎の部分がどのように施工されているかの2点が問題となります。

パイプスペースという小さな面積の、天端の材料に何を使うかです。天板には板金材が良いのですが、施工法によっては、板金職人が、その現場に入らない場合があります。この小さな面積のためだけに、職人を呼びにくいのです。したがって、サイディング材などを、天板に張ることもあります。勾配はあっても水平面ですから、外壁材料では本来不可です。また、外壁取合い部に、立ち上がりをつくれませんから、“雨仕舞い”として、うまくありません。シーリング材で雨を防ぐだけです。外壁サイディング仕上げを施工後に配管する場合は、若干の雨水が浸入してもよいのですが、木部のまま配管すると、内部は雨水に対して防御できません。ここは、施工の方法により、雨仕舞いの弱点になります。人によるバラツキが多く見られるところで、見た目にはわかりません。

 パイプスペースの配管の下部、つまり基礎周りです。建物外部の付加スペースですから、本来の基礎はありません。現場では、指示しないと、サイディング下地の木部を延長して、そのまま地面まで延ばしている場合があります。施工時期は防蟻工事施工後に配管しますから、白木のままです。即白蟻にやられます。竣工時点で、白蟻がくると思います。空間として配管を基礎部のみ露出してもよいです。意匠性から嫌う場合もあります。その場合にはレンガを積んで、基礎仕上げと同じく、下部をモルタルハケ引き仕上げにします。なるべき薄く仕上げたいので、レンガ程度になります。

このような配慮が必要です。パイプスペースの仕上げまで、図面に記載せずに、現場お任せも多いのです。やはりここでもバラツキが生じやすくなります。

 このように、建物本体ではない付加部分に、雨漏りや白蟻の侵入など、建物の耐久性低下の原因となるところもありますから、メンテナンス担当者には、感受性が求められます。いかに早く気付くかということです。見るべきポイントを知っておけば、かなり対応可能になります。感受性とは、気付く人と、気付かない人に分かれます。気付いても、問題と認識するかしないかに分かれます。認識しても、対応するか、様子を見てとりあえず放置するかに分かれます。対応しても、個別対応ではなく、抜本的に、メンテナンス会議などで、積極的に改善案を提案して、今後の仕様を改定していく人もいます。感受性は、同じ人であっても、そのときの仕事量、人間関係、体調なども影響するため、良い状態に維持しなければなりません。

写真:パイプスペースの天板が外壁サイディング

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