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第2章 敷地の確認 01 排水溝廻りに亀裂や陥没はないか



メンテナンスの定期訪問時には、まず敷地の全体像を把握します。入居者に会う前に、ある程度の敷地の把握をおこないます。3ヶ月・6ヶ月・1年目・2年目・3年目・5年目・10年目点検などがありますが、いつでも必ず、敷地全体を自分の目で把握します。技術屋にとっては、現実に現場で現物を見るという姿勢が重要です。これを“3現主義”といいます。

入居者に会う前に、まず敷地確認です。点検には、感受性が必要です。いかに気付くかに時間をかけます。急いで入居者に会う必要はありません。効率を求めて、時間を節約してはいけません。優秀な人であっても、すぐに100%気付くことはありません。約束の時間には余裕が必要となります。

敷地周辺の排水溝や、敷地の排水管の位置、浄化槽の周辺が、陥没している場合があります。建設工事期間中に、地面を掘り返して排水管を埋めますから、盛土状態になっています。沈下するのは当然です。ひどいときには排水管まわりに空洞ができます。地面の下に空洞があることは、よいことではありません。本来なら充分に転圧して、密な状態がよいわけです。

時間の経過とともに、地盤は落ち着いて、沈下することはなくなりますが、落ち着くまでの数年間は沈下が続きます

工事中に充分な転圧がされればよいのですが、職人により、バラツキます。ていねいな施工がされにくいところです。排水管が沈下すると、配管勾配がかわり、流れにくくなります。逆流することもあります。もともとの排水管の最小勾配は、内径100㎜の排水管の最小勾配は、逆数の1/100です。管径により、1/50~1/200程度ですから、緩い勾配です。これで排水の流れを確保しています。少しの勾配が変わるだけで、流れなくなります。常時水溜りができます。

 ときどき排水会所(掃除口)のフタをあけて、排水に異常がないかを点検します。本来は入居者が自己責任で行うべきものですが、多くの入居者の方が、現実に管理しないであろうことは容易に想像できます。メンテナンス定期点検時には、メンテナンス担当者が、会所のフタを全部あけて確認します。

 排水管は塩ビ製品を使うことがほとんどです。接続箇所も少なく、接着剤で施工されるため、問題化しません。古い建物をメンテナンスする際には、土管の場合があります。このときは、土管のジョイント部分の接続がモルタルで、まいているだけで、そこから植物の根が侵入している場合が多く、詰まりの原因になります。点検をしっかりとします。

 点検により異常がある場合には、補修工事をおこないますが、その際にはまわりの土の転圧を充分にします。“水締め”といって、砂を入れてから、水をまくと、ぐっと締まります。時間の経過とともに、地盤は徐々に落ち着きますから、更なる沈下の進行は少ないと思われます。

 敷地の周囲に、側溝が設置されている場合、それは雨水を流すためのものです。側溝もよく見ると、段差や勾配異常が見受けられることが多いです。側溝の下は転圧が不十分で、コンクリート製側溝を置いただけという場合もあります。時間の経過とともに、不具合箇所は明らかになりますから、補修すれば、問題は解決し、その後は落ち着いた状態になります。


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