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第3章 基礎・土間の確認 基礎全周のひび割れはないか


建物の外周部から確認していきます。まず、建物全面の基礎のひび割れについてです。不同沈下などの異常がある場合には、基礎にひび割れが入る可能性が高いです。基礎は、ある程度動きに追随します。基礎コンクリートの仕上げとしては、コンクリート打ち放し仕上げ、モルタルハケ引き仕上げ、モルタル櫛引き仕上げ、樹脂で仕上げる場合もあります。


基礎コンクリートのひび割れの原因は、主として、不同沈下などによる構造的なひび割れと、乾燥収縮によるひび割れが考えられます。

不同沈下などの構造的なひび割れについては、めったに発生しません。頻繁に発生しても困ります。その場合にはまず、これ以上の不同沈下を発生させないことが前提条件となります。薬液注入工法やアンダーピニングと呼ばれる工法により、建物下部の地盤を固めて、現在以上の沈下の進行は防ぐことが可能です。その後に沈下修正工事をおこないますが、これは話が大きくなります。

通常のひび割れのほとんどが、乾燥収縮によるひび割れです。コンクリート(成分は、水+セメント+砂+砂利)のような、水を使う湿式材料である以上、必ず乾燥収縮を伴い、ひび割れの可能性が高くなります。コンクリートのひび割れのほとんどが、乾燥収縮によるものであり、通常に発生する現象であり、特殊な事例ではありません。通常、地面よりも下の部分は、土による湿潤状態であり、乾燥しにくいため、ひび割れは少なくなります。コンクリートの乾燥収縮が、落ち着くには、数年かかるといわれていますので、水分が抜けきるには、時間が必要です。

コンクリートのひび割れを放置すると、二酸化炭素や水分が浸入するため、pH12.5のかなりの強アルカリ性から、徐々に中性化が進行し、耐久性の観点から、好ましくありません。中性化現象は、炭酸ガスとの反応による劣化現象であり、コンクリートの圧縮強度の低下はありませんが、鉄筋の発錆条件となります。アルカリ性の中の、鉄筋は錆びませんが、中性化すると錆が始まるので、耐久性に悪影響を及ぼすことになります。

基礎の乾燥収縮によるひび割れの発生は、次の様なメカニズムになります。基礎部には、人通口(点検口)が設置されており、基礎の上部は、その通風による乾燥が促進される状態となります。基礎上部が乾燥収縮するのに対し、基礎下部は、直接土に接しているので、乾燥収縮をおこしにくい状態です。この基礎の歪みの差によって、ひび割れが入ることになります。そのひび割れの入り方は、基礎立ち上がり部の上部から垂直に入ります。上部のひび割れ幅は太く、下部に進むにつれ、ひび割れ幅は細くなります。この入り方が典型的な乾燥収縮ひび割れです。

\s 現在では、住宅の基礎は、鉄筋コンクリート製とすることになっています。昔は、無筋コンクリートだった時代もあります。コンクリート材料は、水を含む湿式材料であり、湿式材料の特性上、必ず乾燥収縮を伴います。つまり、ひび割れが発生する可能性が高いということです。一切の、ひび割れを許容しないならば、そもそも、建築の材料として、コンクリートの使用は不可能という意味になります。コンクリートの圧縮強度や耐久性を確保するという前提条件で、多少の乾燥収縮によるひび割れの発生については、許容が必要です。

 ひび割れがまったく発生しない、コンクリートをつくることは難しいです。発生しにくくすることは可能です。コンクリートは、施工性の許す範囲内ですが、水分の少ない固めのコンクリートが、品質のよいコンクリートです。水分の多いコンクリートは、シャブコンと呼ばれて、バカにされます。当然、圧縮強度も低く、ひび割れも増加します。


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