新築住宅で、和室は少なくなり、1部屋のみで、用途は客間という場合が多くなってきました。使用頻度も多くありません。床だけが畳で、壁・天井は和風テイストのビニールクロスが多くなっています。床以外はほぼ洋間という感覚です。
床の畳の仕様には、ランクがあります。畳は一般に重いものほど、硬いものほど高級品です。住宅会社の標準仕様は、高級品ではなく、軽くて柔らかめです。並べてみると、差異はわかりますが、通常は気になりません。
畳のサイズは、関東間・京間・中京間・団地サイズなど様々ですが、実際には建物に合わせて、畳を部屋ごとに採寸して誂えますから、部屋を変え、位置・向きを変えても合いません。畳をあげる際には、事前に位置と向きを控えておきます。
床の段差解消のため、“バリアフリー”が、言われ出して久しくなります。工法によりますが、床構造が同じ場合には、和室では畳下地合板+畳と、洋間では下地合板+フロアーを同じ高さにするためには、畳の厚さを薄くする必要があり、通常の畳の厚さ55㎜ではなく、厚さ15㎜の“薄畳”が開発されました。入居者により、イメージが異なると驚く人もいます。
畳床の中には、発泡スチロールや合板を挟み込み、コストを下げつつ、感触を調整しています。通常は畳からのダニ発生防止のために、防虫剤をいれてあります。畳屋からすれば、ダニの発生はクレームになるため、止むを得ません。畳表もイグサの青さではなく、マラカイトグリーンという染料で色をつけています。入居者が化学物質に対して敏感であれば、健康を害する可能性もありますので、聞き取りします。和室には、床の間がつくられることが多いです。洋間と異なり、床柱・落掛・幕板・床框・地板などがあります。仕様も様々です。無垢材も張物もあります。化粧材(木材の見える部分)が多いということは、干割れ・反り・隙間など不具合の可能性が高くなります。
畳と畳が擦れて音がする場合があります。この場合には、畳をあげて、ジョイント部分にロウソクのロウをこすっておくと、滑りがよくなり、音が止まります。
写真59-1 和室の薄畳
和室の薄畳で、厚さは15㎜、カーペットを敷く感覚です。畳を外して驚く建築主も多いです。洋間のフロアーとの段差解消が目的です。
写真59-2 和室バリアフリー仕様の薄畳
和室のバリアフリー仕様として、薄畳です。通常の55㎜厚さの畳とは異なります。見た目は一緒ですが、足の感触が微妙に異なります。
Comments