開放型の暖房器具”の意味を確認しますが、室内で燃焼して、その排気を外部ではなく、室内に直接放出する場合をいいます。強制排気管のない石油ストーブ、ガスストーブ、石油ファンヒーターなどがそれに当たります。これらの暖房機では燃焼時に、二酸化炭素等の汚染物質が発生しています。水分も大量に発生します。
石油ストーブで、灯油1リットルを燃焼させると、水蒸気は水に換算して、1リットルでることになります。室内壁の表面やサッシのガラス面で、表面結露、壁体内結露になる可能性が高いです。結露が発生するのは気密がよい証拠ともいえます。気密が悪いと結露しません。
結露は、カビの発生原因で、すべてアレルゲン(アレルギー誘引物質)になります。気管支ぜんそく、過敏性肺炎、アレルギー性の鼻炎・結膜炎など、入居者の健康を害します。アレルギーは体質が大きく影響しますが、日本人の1/3は何らかのアレルギーをもっていると言われています。カビが生えたということは、今後もカビがえるということです。
最近の住宅は、アルミサッシや石膏ボードを使用するようになってから、気密はよくなりました。これらの暖房機を使用する際には、十分な換気が必要です。気密のため汚染空気の逃げ場が無く、24時間換気での換気量では追いつきません。最近の気密住宅では、有害物質を発生しない、電気式かFF等の室外燃焼方式(外部に排気筒があるもの)の暖房器具を使うべきです。
筆者の実家は、京都にある築80年位の昔の家です。サッシも石膏ボードも使っていません。冬は石油ストーブが唯一の暖房器具です。その上に水をいれたヤカンが常時沸騰しています。いつもお湯を使えることができて便利です。しかし結露はおこりません。これだけ水蒸気を発生させても、結露しない理由は、家が隙間だらけで、気密性がゼロですから。現在の家では不可能です。
結露の発生は、建物の耐久性に大きな影響を及ぼします、建物の性能にもよりますが、住まい方が大きく関わります。開放型ストーブを使用するなら、良い住まい方とはいえません。
メンテナンス担当者は、ホームドクターの立場になり、入居者に対して、住まい方をアドバイスすることになります。常識であっても、入居者にとっては常識ではありません。
ビジネスの世界では共通だと思いますが、メンテナンス担当者にとっては、多数の現場の、中の1つに過ぎませんが、入居者にとっては、自分の家が100%です。よく温度差があるという表現をされます。このことは当然のことと理解しているつもりですが、仕事が忙しくなると、つい疎かになりがちです。そしてサラリーマンは、仕事が暇な時期は少なく、大抵は忙しい時期になっています。メンテナンス担当者として、心しておきたいところです。
写真1 開放型ストーブの使用
古い木造住宅では、通常に使用されている灯油ストーブです。上部にヤカンをおいて沸騰しています。水蒸気がバンバン発生していますが、結露はおこりません。それだけスカスカ状態で、断熱・気密性能が低いため、問題になりません。
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