住宅現場の防水は、昔はアスファルト防水でしたが、今ではFRP防水が主流になっています。FRPとは、繊維強化プラスチック(Fiberglass Reinforced Plastics)の略称で、ガラス繊維などの強化材で補強したプラスチック、という意味です。
防水品質が優秀で、FRP防水の出現で、設計上の規準が緩和されてきました。昔はバルコニーの下には、居室が禁止されていました。バルコニーを外部へはねだして、構造は柱で受けました。万一雨が漏れても、影響を最小限にとどめていました。FRP防水の普及とともに、メーカー保証もあるため、平気でバルコニーの下に、居室を設計するようになり、プランの自由度は増しました。
FRP防水の性能がよいといっても、材料品質の話であり、施工品質については、現場で職人が施工するわけで、施工の不具合が生じる可能性は残ります。
FRP防水の劣化について、化粧ブロックを設置していると、紫外線はあたりませんから、劣化の進行は緩やかになります。一方、ヘドロが溜まる状態で、水分が溜まっているとよいことはありません。化粧ブロックなしで露出の場合には、紫外線劣化は激しくなりますが、ヘドロ状態はなくなりますから、劣化の進行は同じようなものでしょう。
防水性能は、建物の耐久性に大きく影響する重要なところですから、劣化のいかんにかかわらず、10年ごとに塗り直しすることが、妥当な判断となります。屋根や外壁は劣化の程度により、10年よりも多少延長もできましたが、防水は10年と20年で施工すべきです。30年目には、全面やり直しになります。シーリング材の更新と同じ扱いになります。
現場によっては、FRP防水が激しく劣化している場合もあります。気象条件や下地の含水率なども含めて、正常な施工が実施されなかった可能性もあります。
メンテナンスの立場としては、構造と雨漏りは10年保証ですから、バルコニーの防水は重要な位置付けになります。10年塗替えの必要性などは、急に説明するのではなく、日ごろから説明しておかなければなりません。
写真39-1 FRP防水の劣化状況
FRP防水の10年目の劣化状況ですが、かなり傷んでいます。これでは雨漏りもするはずです。ここまで放置すると不可です。当初の工事に、含水率や天候などの点で、問題があった可能性もあります。
写真39-2 防水の上にモルタル
写真39-3 化粧ブロックを外す
防水の上に、仕上げがある場合、モルタルなど外せない場合には点検不能となります。化粧ブロックを置くだけの場合には外して点検可能です。ヘドロが溜まっていることも多いです。
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