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外壁の石タイルの浮きは叩いて音をきく

外壁の仕上げ材として、コストの関係で、吹付け塗装を行うことが通常です。ところがメンテナンスの必要性から、約10年ごとに足場を組んで、再塗装をおこなわなくてはなりません。足場は仮設工事ですから、作業をするための手段です。作業終了後は解体撤去します。残らないものにカネを使うのは、イヤな感じがします。その必要がないようにという発想で、“メンテナンスフリー”ともいいますが、石・タイル仕上げを採用することがあります。

石・タイル仕上げは、吹付けよりも、高級な仕上げとなります。吹付けの再施工を考えると、最初にお金をかけておくと、後からの費用が発生しないことになります。本当にそうでしょうか?

基本的に建築材料で、メンテナンスの必要がないものはありません。石・タイルの材料自体の劣化は、吹付けよりも、はるかに少ないことは事実です。ところが施工面において、石・タイルと下地との接着については、遊離して浮く場合があります。かなりの確率で、見受けられます。モルタルでも浮きがありますが、石・タイルでもおこります。浮くとどうなるか?ひどい場合には落下することになります。“不安全状態”となります。

中高層の共同住宅では、定期的に、“テストハンマー”による外壁の“打音検査”が必要になっています。個人住宅では、個人責任にお任せですが、タイル施工方法自体は同じであり、浮きが発生する可能性はあります。浮いたものは、勝手に復元しませんから、メンテナンスにより、張り替えるなり、補修が必要となります。ただし足場が必要となります。

タイルの浮きの見つけ方は、テストハンマーで叩いて、音の違いから判断します。健全なところと、浮いた状態では音は、異なります。対処方法としては、浮いた部分に、“アンカーピンニング”と呼ばれる工法を採用します。タイル面にエポキシ系樹脂を注入して、ピンで固定します。

基礎の仕上げは、通常はモルタルの刷毛引き仕上げやせいぜい、樹脂ですが、高級な仕上げとして、石・タイル張りの場合があります。この場合には、浮き以外に白蟻リスクが生じます。理由は、基礎コンクリートと、仕上げの石・タイルが完全密着せずに、隙間があるのです。その隙間は、白蟻の道になることがあります。点検しにくいです。

メンテナンスフリーという言葉が好まれて使われます。メンテナンスができないので、壊れたら修理できずに、即交換しなければいけない、という意味ではありません。メンテナンスフリーの、本来の意味は、メンテナンス不要かもしれませんが、現実には、メンテナンス不要で、永久に長持ちするという意味にはなりません。メンテナンスが自由におこないやすい程度の意味と考えて下さい。そこそこ長持ちはするが、適切な時期には、メンテナンスは必要です。

建物を長く使うという目的を、実現するための手段として、メンテナンスを行います。その結果、建物を長く使うことができて、1年当りの建設コスト、ランニングコスト、維持管理コストは、大幅に低減して、大いに儲かることになるはずです。



外壁全面が高級なタイル仕上げとなっています。軒の出がないので、屋根面取合いの雨仕舞いとともに、メンテナンス点検は必要です。








基礎の仕上げにはコストの関係で、石・タイルを張ることは多くありません。問題としては、石の裏面と基礎コンクリート面の取り合いの隙間が白蟻の通り道になります。点検しにくいですから、被害が発生してから気づくことになります。白蟻リスクに注意します。

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