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軒先・破風・鼻隠し・ケラバ・軒の出300以下

建物の軒の出は、短いほど、軒先周りは劣化しやすいといえます。軒先にまわった雨水が切れずに、下部にまわります。雨漏りの可能性が高まります。最近の新築時では、軒の出300㎜以下の場合に、大工の小屋組作業中に、事前に“捨てフェルト”を入れてから、施工することもあります。古い建物では捨てフェルトは施工されていません。雨漏り対策として、工夫されました。

昔の多くの家では、軒の出は充分に出ていましたが、都会の狭小地に建設する場合には、軒の出がゼロに近くなることもあります。敷地条件だけではなく、デザイン上、軒の出をとらない場合もあります。夏場と冬場の日射角度を考えると、軒の出は深くてよいことがわかります。強風の吹きぶりに対しても、深い軒の出は有効です。日本の気候では、軒の出が少ないことは、決して良いことではないと思います。

設計者によっては、デザインに合わせて、雨が漏らないように施工するべきと、考える人もいます。雨漏りは、施工者だけが悪いということです。確かに雨漏りは、施工者責任ではありますが、雨の漏りにくい設計もあります。

メンテナンスの立場としては、設計変更はできませんので、雨漏りしている部位、雨漏りの可能性の高い部位を、補修・補強するしかありません。メンテナンスする立場では、劣化の程度を判断して、対策を講じます。いかなる設計であろうとも、現場で施工を工夫することにより、雨漏りしないようにすることは可能です。一言でいえば、手間を惜しまないことです。手間を惜しむと、後で手痛いしっぺ返しで、恥をかくこともありますから、技術屋として考え、行動します。

 そうはいっても諸般の事情もありますから、シーリングだけでとりあえず雨漏りを止めることもあります。その場合には、雨漏り再発の説明を懇切丁寧にしなければなりません。本格的に雨漏りの補修工事をする場合には、かなり大掛かりになり、費用も時間もかかります。散水試験も時間をかけて徹底的に行います。浸入口を的確に見つけることがキモになります。

成功しない確率もあります。


写真1 軒の出のない建物

軒の出のない建物では、雨漏りには特別に注意して、施工しなければなりませんが、普通通りの予算で、普通通りに納めることが多いです。







写真2 破風・鼻ともに、軒の出がないデザイン

軒の出がゼロの建物です。敷地よりもデザイン上の選択です。外壁面には雨も紫外線も直接大量に受けます。

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